番外編 黒いギャング川鵜のお話


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何日か前、家に帰ると、我が家の奥様が「今年は鮎いないんだってー?」と、うれしそうにしゃべり始めた。なんでも、夕方のニュースで「天竜川の鮎が全滅の危機・川を襲う黒いギャング・・・ 」という特集をしていたらしい。

黒いギャングとは、言うまでもなく「川鵜(カワウ)」のことで、天竜川に限らず、各地の河川で重大な被害が出ていることは私も知っている。奥様にしてみれば、鮎がいなくなれば5月から11月まで私が釣りに行けなくなり、子供の相手をしたり、買い物の運転手になったりと嬉しい限りだろうが、私をはじめ鮎釣り好きにとっては一大事だ。唯一の楽しみ、いや生き甲斐ともいえる鮎釣りができなくなってはたまったものではない。

実はこの川鵜、秋川にも何年も前からやってきており、放流したての鮎を大量に食べてしまったり、解禁の直前に大量に飛来し、解禁日に鮎がいなくなったりと、漁業関係者や釣り人を悩ませている。

現在の秋川には、ハッキリ言って魚の姿はまったく見えない。いつもの冬であれば、淵にハヤが真っ黒に固まった姿がいたるところで見えるのだが、今年は1匹も見えない。昨年の秋まで川鵜が来ていたので、サカナを食べ尽くしてしまったようだ。だから、現在は川鵜の姿も見えない。「餌となるサカナが川にいないので、秋川に用は無い」と他の河川に行っているのだろう。先日、漁協の支部総会でも川鵜の対策についての話があったが、決定的な解決策は出なかった。

この川鵜、毎日川を観察している人の話によると、何十羽、何百羽で一斉に漁を開始。横一線に水中を泳ぎながら進み、目の前のサカナを片っ端から食べていく。サカナが逃げ惑い、勢い余って岸に飛び出してしまうことも多くあり、その時は岸に待ち構えていた別の鵜が食べる。食べて食べて食べて、口から尾ヒレが出ていても、まだ次を食べようとする。満腹感がないようである。

そして、いよいよ捕るサカナがいなくなると、ようやく退散。だが、ここで本日一番腹立たしい光景があるらしい。食べ過ぎて、体が重くなりすぎて飛び立てないのだ。そして、川鵜は仕方なくせっかく食べたサカナを吐き出してしまうらしい。襲来し川を荒らしまわった後は、岸に吐き出したサカナの死骸がたくさんある。シラサギのように川の浅瀬にチョコンと立ち、1匹、2匹とつまみ食いする程度であればまだかわいいのだが・・・。

何十年も前から世間を騒がせているノストラダムスの大予言というのは、もしかしたら大魔王ならぬ川鵜なのかも。いや、我々鮎師にとっては、大魔王よりも恐ろしい存在が黒いギャング・川鵜かもしれない。今年の夏、我が家の奥様がいつもニコニコしているようだったらどうしよう、と気が重くなる、今日この頃です。

[写真:ウよけ1]
漁協の支部で設置した小和田堰上の「ウよけ」。立て看板の右側に見える竹の木、1本を丸ごと川の中に漬けています。多少なりともサカナの逃げ込む場所を、ということで苦肉の策です。しかしながら前述のとおり、現在は逃げ込むサカナもいません。

[写真:ウよけ2、3]
ここにも竹と紐でつながれたペットボトルが一列に川の中に浮かんでいます。見た目はあまり美しくはありませんが、苦肉の策なのです。

[写真:ウよけ4]
小和田グラウンド方面の風景です。このようにある程度の水深があり、上空が開けていて川の中がバッチリ見える場所は絶好の御猟場となります。

(写真はクリックすると拡大します)



ウよけ1

ウよけ2

ウよけ3

ウよけ


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