山口県萩市の沖にある見島は、数年前からクロマグロを狙う釣り師で賑わっている。その見島の北には八里ガ瀬、千里ガ瀬などの大きな曽根があり、クロマグロの他にヒラマサ、ブリ、マダイなどが釣れる。シーズンになると休日には70隻以上の船が集り、さながら海の銀座である。
クロマグロの魅力もすごいが、釣れるマグロの数もすごい。我々が行った2日前は、餌釣りで200本ぐらい上がっていたらしい。ただし、ルアーでとなると滅多に釣れたという話を聞かない。それは餌釣りの船が大量にまくオキアミに原因がありそうだ。一つの船が100kg以上まくので、クロマグロはオキアミ以外に反応しないらしい。
そのうえ、船団が集結している場所には流し釣りの船は入れない。餌釣りの船は、狭いところにすべてアンカーを下ろしてフカセ釣りをしているので、とてもじゃないが入っていけないし、流し釣りはその場所では禁止になっているらしい。まあ日本中で、このように規制が厳しいところはいっぱいある。超高級魚だからやむをえないのかも。
そんな見島で、ジグでクロマグロを釣ろうという無謀な計画を立てた。言い出しっぺは山口に住む吉井さんで、「昨年は11月末に、ジギングで30kgが上がってます」との話に何も考えずに飛びついてしまった。
電話があったのは9月の初め。この頃すでに、私はスケジュールが11月末しか空いてなかった。曜日も調べずに吉井さんに「27、28、29日の3日間やりましょう」と返事をした。あとでわかった事だが、すべて平日だった。そのため集まりが悪く、MIDナイトさんと2人で行く事になってしまった。海外なら平日でも集まるのに・・・。見島は海外より遠く感じるところらしい。
ちょうどJASのマイレージが貯まっていたので、JAS便のある福岡から入った。博多の釣具屋「ブルーウォーターハウス」でジグなどを買い、北九州のクラブ員土橋君の車で吉井さんと待ち合わせる小倉の釣具屋「シャーク」に向かった。
「シャーク」で吉井さん、鍋島さん、そして山口県のクラブ員の福間君らと会い、今度は鍋島さんの運転で萩へと向かった。同行は鍋島さんの他に、「シャーク」の石原店長と松本さんが加わった。
萩に着いたのは午後10時頃だった。「富田旅館」で1泊して、翌早朝、「ずいこう丸」に乗って見島へと向かった。船長は22歳という若い西村さん、なんと身長は193cm、なかなかの好男子だった。
2時間ぐらいで見島沖に着いたが、予想以上に風が強く波が高い。船長の判断で釣りは中止にして見島の「赤崎旅館」に入った。天気予報だと明日はさらに悪いということだった。
結局翌日も船は出られず、鍋島さん、石原さん、松本さんは1日も釣りをせず定期船で帰って行った。それと入れ替わるように、吉井さんと広島の釣具屋「シーラカンス」の方が3人やってきた。明日最終日はなんとか船は出られそうな予報だった。
日本海は11月ともなるとシケる事が多い。案の定、3日間のうち、2日間が中止になってしまった。最終日の29日はまだかなりうねりが残っていたが、なんとか釣りができそうなので朝の6時頃港を出た。見島の東側に来ると、すでに餌釣りの船が30隻ぐらい集まっていた。餌釣りは4時からやれるそうだ。
その船団の潮下の、かなり離れた所に「ずいこう丸」は付けてジギングを始めたが、一向にアタリは来ない。あきらめて八里ガ瀬まで走り、そこでジギングを開始するとメジロ(ワラサ)クラスが立て続けにヒットした。私には1個のジグに2匹のメジロが釣れたし、MIDナイトさんは自己記録を大幅に更新する84cm、5.8kgのメジロが釣れた。
ヒットはポイントを変えた後もポツポツとあり、ハガツオ、カツオ、カンパチなどが退屈なくヒットしてきた。関東から来た我々には充分満足のいく釣果だったが、吉井さんたちには不満らしく、「こんなに釣れない日は珍しい」と言っていた。なんでもいい時は、ヒラマサが船中100本以上釣れるらしい。
私も来る前に、萩によく来る京都の永井誠一さんや、三重の山根君に聞いていたが、釣れる時はとんでもなく釣れる場所のようだ。帰り際に兵庫の保田君にも電話で聞いたが、「2週間前に行ったけど、状況が悪く40本しかヒラマサが釣れませんでした」と言っていた。この日は船中20本弱・・・。滅多にない貧果らしい。
そういえば我々は、クロマグロをジギングで釣りに来たはずだ。いつのまにか、なんでもいいから釣りたいに変わっていた(笑)。まあ2日間も旅館に缶詰めになっていれば、なんでもいいから釣りたいになるわな(反省!)。
次回は5月頃行く予定です。
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