「巨魚を釣る」
茂木 陽一
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「巨魚を釣る」同じ題名で醍醐麻沙夫さんが講談社から単行本を出している。これには私を含め、数人の荒磯師たちが紹介されている。当時、磯から100キロオーバーを釣ることに執念を燃やした男達の壮絶な人生がこの本に凝縮されている。そして誰一人それを実現できずにこの世界から消えていった。 時代は変わり、今ではルアーで巨魚に挑む若者が増えている。一昔前、と言っても5〜6年前だが、ルアーで50キロオーバーは不可能と言われていた。それが5年前のスーパーディープジギング出現を境に、続々と50キロオーバーが上がり始めた。 まず最初に50キロの壁を越えたのは私が1996年6月に奄美大島沖で釣り上げた50キロのカンパチだった。続いて7月に鈴木文雄氏が小笠原で50キロのヒレナガカンパチ、さらに永井誠一、友永喜芳、佐藤統洋らが次々と50キロの壁を越えていった。 ここで改めて言いますが、私が記録として認めるのはあくまでも交代をしないでフッキングからランディングまで一人でやったものだけです。私自身それに異常なまでにこだわっているし、クラブ員にも常にそう指導してきました。今年も私と私の仲間は多くの巨魚をゲットしましたが、途中で交代したものは1匹もありません。これは神に誓って申し上げます。 さらに私が指導するときに「交代するようなやつに巨魚に挑む資格は無い」と言い続けています。あの小西健滋も初めてイソマグロをかけたときは、フラフラになって途中からへたり込んでしまいました。でも最後まで交代しないでファイトを続けランディングしました。その時の鬼のような私の言葉を今でもはっきりと覚えているそうです。「途中で変わるようなら最初からここに来るな!」。今の小西はその頃と別人のようにたくましくなり、今では私のほうが小西にカツを入れられそうですが。 つい先日、平松がパプアニューギニアから帰ってきました。ジギングで43キロのキハダを20分でしとめたそうです。それはそれで素晴らしいことですが、続いての報告が「推定350キロのマーリンと、フッキングから船縁まで4時間20分、交代しないでファイトをしました」。最後は船縁でリーダーが切れてしまったそうですが、すごいお話には違いありません。そして平松は嬉しいことを言ってくれました。「常に後ろに会長がいるような気がしました」。 今回、平松の写真が間に合わないので先日、小笠原で39.8キロのカンパチを釣った保田の写真を公開します。この男も巨魚に異常な執念を燃やしています。餌ではありますが、112キロのクロマグロを5時間半のファイトで釣り上げています。今年の3月下旬にも推定70キロのクロマグロをジグでヒットさせて4時間の過酷なファイトをやりました。結果はやはり船縁でバラしてしまいましたが、この男ならいつか必ずとんでもない巨魚を釣ると確信しています。 最後に私の誓いを。 「交代するときが引退するときと心に誓って巨魚に挑む」 釣りに人生を賭けた男の言葉です。 |
![]() 保田君39.8キロカンパチ |
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![]() 加藤君38.4キロカンパチ |
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